幼馴染に10のお題
- 1)二人で過ごした時間
- 海を越えてから俺はやっと気づいた。
幼馴染だとか、親友だとか、そんな肩書きばっかだけど、一緒にいた時間なんか数えるぐらいしかなかったってことに。
(あいつはとっくに知ってたんだろーけど)
- 2)幼き日の思い出
- 今でもはっきりと覚えてる。
僕を支えてくれる野球と、そして何より、君と出会ったあの日のことを。
(今と何も変わらない、眩しい君のおかげなんだ)
- 3)隠し事なんて通用しない
- 「吾郎君」
怒ったような、呆れたようなカオに睨まれる。お小言を食らうかと思ったけど、その声は意外と優しかった。
「……冷やさないと余計腫れるよ、そこの打ち身」
(なんで余計なことばっか気づくんだっての
- 4)ケンカの発生から終わりまで
- 嫌だって言うのに無理やり組み敷いた相手を蹴飛ばして、そのまま一時間ぐらい冷戦状態。だけど、ごめんと吾郎君が頭を下げた。
「つーわけで、仲直りにセックスしねえ?」
(きみ、ぜんっぜん反省してない!)
- 5)第三者の介入
- 「寿、それとってくんね?」
「はい。あ、ついでに吾郎君……」
「これだろー。ほらよ」
「……」
「薬師寺、どうかした?」
「いらねーなら俺がコロッケ食うぜ」
「……いや」
(無自覚で惚気てんなよ……)
- 6)初めて見た表情
- 久しぶりに会ったこいつに思わず舌打ちする。
(へったくそな笑顔、浮かべてんじゃねーよ)
見上げた表情から目をそらす。頬、多分赤くなってる。だってすごく熱い。
(どうしてそんな顔、僕に向けるんだ)
- 7)誰よりも理解してる…はずだった
- 「俺、海堂から出ていく」
君のことを誰よりも知っているのは僕じゃない。だって、こんなに近くにいるのに何も分からないんだ。
(心臓の音も聞こえるのに、どうしてとても遠いんだろう)
- 8)あの頃には戻れない
- 四六時中、一緒にいられたあんときには戻れないことぐらい、俺だって了解してるっつーの。
(けど、笑顔のひとつぐらい見せてくれたって罰はあたんねーだろ)
- 9)安らげる場所
- ぼんやりと瞼を開いたら、吾郎君と目が合った。
「疲れてんのか?ま、俺は寝顔堪能できたけどな」
にやにや笑う顔を軽く叩いた。大失態。よりによって膝の上、なんてさ。
(だって、気が緩んじゃうんだよ)
- 10)僕に必要な君、君に必要な僕
- 俺の球を捕れるのは寿也だけ。
寿也が捕りたい球は俺のだけ。
それはガキの頃から続く、妙なバランス感覚。
(だけどなによりも、心地いい)